ニコル

友人に子供がうまれたので、見にいきました。
こわかった。すごい方だった。赤ちゃんをちゃんと(妹以外)持ったことがなかったのだけど、あんなに寝ない生き物なのか。あと手に抱えられない。ものすごいブリッジしてくる。まだ生まれて五ヶ月しかたっていないのに、指の関節に指毛がきっちり生えそろっておられてそれもこわかった。お父さんは禿げかけているのにひどい。C,W,ニコルと呼ぼうと言ったら知ってか知らずかまた凄いブリッジで抗議運動された。大きくなったらさぞ自分の指毛だけでなく、他のいろんなものをも育む素敵な人になる気がします。

ニコルに何かあげるために玩具屋さんに行ったのですが、ケテ・クルーゼ社というドイツのメーカーのおにんぎょうの写真のポストカードが何か変な気がする。どうしても気になるのでニコルは男なのに、しかも子供なのについついそんな大人の趣味に染まったものをあげてしまう。お母さんに顰蹙を買った。
人形が川に飛び込もうとしたり、おうちの中で遊んだり、料理したりしているところを撮った写真なのだけど、すごい変。     他のもすごい。

ぎゅうぎゅう。あとものを持ちすぎ。人形のくせに。床になぜか知らないけどいつも下駄とか皿が散乱しているけどいいのか。子供はみんな怒られた直後みたいなシチュエーションだけどいいのか。子供は一人たりとも、カメラを見ていない。幼稚園のころやはり同じようにシルバニアファミリーを祖父の背中の上に置いて山に見立てて写真を撮ったことがあって、(24枚撮りフィルムを全部その人形+祖父背中の組み合わせで使い切っていた、よく怒られなかったものだ)その写真を律儀に祖父が現像してわたしにくれたので、ずっと取っておいて高校生くらいのときに、机から出てきて見たことを思い出した。人形の縮尺を無視したのでものすごい祖父のシャツの大きい模様が人形の足元に山みたいにあった。人形の目線と同じ目の高さから写真は撮られていた。人形の顔の横から、居間の襖の花の模様が小さく写っていた。それを見たとき、今回ニコルに写真をあげる時感じたような気分がした。

人形が生きていて生活していたのなら規格外の大きすぎる模様とか色とかしわになるものがすぐ近くにある。人形の影がそのシャツの模様に落ちている。自分が人形だったら気がおかしくなると思う。小さいものにもそれ相応の影がつねにある。ものとものとの間隔をあけて置けば、その間隔ぶんの空間はできる(あたりまえか)。人形のいるところなのに私のいつも見ている襖の花がある。同じように光が当たっている。小さいところにも同じように光が当たったり、影が出来たりすることは、一番こわかった。

Kathe Kruse: At Her Creative Peak

Kathe Kruse: At Her Creative Peak