「schola」J.S.Bachと年表、そしてフェア

commmons: schola vol.1 J.S. Bach Ryuichi Sakamoto selection

commmons: schola vol.1 J.S. Bach Ryuichi Sakamoto selection

坂本龍一さんのレーベル、commmonsより全30巻刊行予定の音楽全集、scholaが刊行される運びとなりました。(第一弾、J.S.Bachは既に先日9月24日に刊行済み。当店[ジュンク堂新宿店]では7階音楽書のクラシック棚と邦楽ロックの坂本さんのコーナーに置いています)とにかくその重量の具合と巻末の年表にぞっとしました(いい意味で)。裏表両面が印刷された年表は小学校の「世界史」などで何度も見ているはずですが、巧妙に薄くて綺麗な色がのっている年表にはバッハの「音楽史」「バッハ史」「世界史」が三段並べて印刷されており、勿論何が行われたのかが記されていました。しばらく年表について考える日が続きました。

1・黒井千次は長髪。
2・貝塚(その授業の時間に友人が紙を食べて怒られた)。
3・年表の折り目には原始人の人がだいたいいるが、(進化の過程)折り畳むと全員足しか見えなくなるのが面白い。

年表から連想する私個人の学生時代のイメージは上記3点。(1は高校時代。文学者年表と文学者の著者近影を照らし合わせ、似顔絵描きして覚えた為、誰が誰に似ているなど、ヴィジュアルのみが先行して頭に入った・2は小学校のころ、確か紙だったかパンだったか、に覚えたいことを書いて、それを食べて覚えるというドラえもんの暗記法に友人が感化されたものと思われる。彼女が怒られているとき、全員下を向いていて年表しか見るものがなかったので、貝塚のこととそのエピソードが結びついたのだと思います。3はどういった類の年表が入った教科書を使ってそのように感じたのか、もう忘れました)

よく考えてみると全て年表から派生した歴史の事件のイメージではなく、私の場合年表もしくはその傍にあったもののイメージが際立って覚えられています。馬鹿のようですが、年表に「絵が描いてある」というのは考えてみると物凄いことなのだと感じる。年表に絵を付けた人の初めというのはいつなのだろう。やろうと思ったとき、「絵巻じゃん!」とかは思わなかったのか。思ったのか。しかし絵巻の場合であればおおよそ一場面につき出来事はひとつではないか。出来事乱立の舞台においてわざわざイメージを提示するという、考えてみれば物凄く大胆でひどいが物凄くときめく作業をしている人がいたのだなぁ、黒船が室町時代ぐらいまで占領しているのを見て「いいのか」と思っていた子供のころからの疑問を思い出しました。勿論scholaの「J.S.Bach」年表にも視覚上のしかけがされています。しばらくスタッフでそのしかけを見て「何なのか」と言って広げたり折ったりしていましたが、この度、7階レジ横フェア台において、scholaのフェアを行うこととなりました。会期は以下の期間です。坂本さんらの書籍執筆者関連書とバッハ入門書をまとめて展示いたします。ぜひこの期間に、年表の謎、そして年表だけではなく、scholaの視覚や文字から伝わるバッハの謎を多くの方にご覧頂けると幸いです。年表と絵、もしくは絵巻についてもバッハ関連書と平行しながら、考えていこうと思います。


坂本龍一総合監修音楽全集 commmons:schola Vol.1「J.S.Bach」刊行記念
「バッハを読む」フェア

 会期:2008年11月1日〜11月30日

 場所:ジュンク堂書店新宿店7階エスカレーター脇フェア棚